こころときめく本3つ

「ところで小関氏の本に採録されたカタログの貴重なカラー図版を眺めているうち、私は以前から引っかかっていたある疑問にひとつの回答を得ることができた。」

「『トトロ』の冒頭は、かつての引っ越しが荷崩れや転倒の恐怖と闘いつつ野の風を全身に浴びて進む一種の冒険にほかならず、三輪トラックの機動性はそうした冒険心を揺さぶる最良の要素だったと納得させてくれもする。何しろ娘たちは父親の仕事机の下に隠れて移動秘密基地みたいな空間にもう入り込んでおり、マックロクロスケだのトトロだのが出てくる家に住み着くまえから、三輪トラックの魔法にかかっているわけなのだ。村を走るボンネットバスはしっかりした四輪だし、(...)猫バスときたら脚は十二本もある。そんななかにあって、ふらついてはいるけれど奇妙な人間臭さを漂わせ、同時にむこう側の世界へ、楠の根元の大穴へ通じていそうな軽やかさをまとった三輪自動車に≪回送電車≫の遠い親類を見出して、私はいまささやかな幸福に浸っている。」

堀江先生の『回送電車』(新潮文庫)にある、
『トトロ』の、ややこしくない神話作用とでも言うべき「引っ越しについて」を読んで
この「小関氏の本」が見てみたいと専修室に配架させてもらいました。


『国産三輪自動車の記録。』
小関和夫
三樹書房
2002年。

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ついでに配架したもの二冊。

『発掘カラー写真
続昭和30年代バス黄金時代』
写真 満田新一郎
文 三好好三・福川博英
JTBパブリッシング
2006年。

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『発掘カラー写真 
昭和40年代バスロマン時代』
写真 満田新一郎
文 三好好三・福川博英
JTBパブリッシング
2006年。

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これら三冊、どんなに淀んだ瞳も、見ればきっと輝くにちがいない、そんな本です。
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by waseda-bungei | 2008-10-15 13:30 |